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いま、体
上の多項式環
のイデアル
が与えられているとして、
とおくことにする。
に対して次のような操作を考える 。
(操作)
の項のうち
の倍数
になっているものがあったとする。このとき、
を考える。
と
との違いは、
の
の項がそれより小さい項の和
(
)で置き換わっているところである。
今度は
についてこの操作をおこなって
を計算し、...というぐあいに
この操作を繰り返すと有限回で
に入る元が得られる。
その結果得られた
の元を「
を
の割った余り」とよぶ。
「割り算」の結果はつぎのように整理することができる。
ここで、
は「余り」で、
の元。
は「商」にあたるもので、
がなりたっている。
上記の
は
上のベクトル空間であり、
さらに上の説明によって
であることがわかる。
そこで
の元を上の式のように
の元と
の元に分けるのが、「割り算」
の基本的な考え方である。問題はそのような分け方の一意性にある。
Yoshifumi Tsuchimoto
2001-05-24