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代数学II 要約 No.4
今日のテーマ:
先週、次の定理が残ってしまっていた。
次の系は有限体(等いろいろな体)を作る際の基本である。
系 4.1
の元
が既約(つまり、
の約数は
自身の定数倍か、定数
に限る)ならば、
は体である。
が有限体 (例えば、
)
ならば上の補題のようにして作られた体は必然的に有限体になる。
での のクラスを と書くと、 は に
という一つの元を付け加えた体になっている。このような体を の単純拡大体
と呼ぶ。
の既約元を発見する方法についてはあとあと述べる予定であるが、
取りあえず次のことぐらいはとりあえず知っておくとよいだろう。
補題 4.1
の元
の次数が
または
であり、
かつ
となるような
が存在しないならば、
は既約である。
この段階で, 有限体の演算の実際について知っておくのも悪くはなかろう。
加、減、乗算についてはそんなに難しくはないと思われるので、
ここでは 0以外の元の逆元の計算法について簡単に触れておく。
要はユークリッドの互除法であって、代数学I ですでに目にしているはずである。
まずユークリッドの互除法の簡単な復習から。
例題 4.1 (ユークリッドの互除法)
等式
を満たす整数
の組を一組求めよ。
(解答)
まず次のような計算を行なう
各々の行の行列算を組み合わせると、
を得る。この式の右辺に現れる正方行列はすべて
の元として
可逆であることに注意して、上の式を次のように変形することが出来る。
この式の第一行に着目すると、
を得る。
(答え)
.
例題 4.2
での
の逆元を求めよ。
(解答)
上の例題4.1の要領で
なる
を求めることにより、
を得る。この式の両辺を
のなかで考えると、
すなわち、 の
での逆元は である。
問題 4.1
での
のクラスを
と書き、
を
,
で定義する。このとき、
をそれぞれ
の2次以下の式であらわしなさい。
問題 4.2
での
のクラスを
と書くとき、
での
の逆元を求めなさい。
(なお、この
は実は体であるのだが、そこまでは示さなくてもよい。)
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2002年5月22日