負の成分について悩む可能性を減らすために、次の状況を考えることにする。
(*) 「究極の」初等コーヒレシピをつくろう。 既にコーヒーのレシピの大枠は決まっていて、あとはコーヒ,水,砂糖,ミルクの量を ミリグラム単位で増減してぴったりのやつを作ればよい。
線型代数の手法は、しばしばこのような「微小の増減」を問題にする時に 有効になる。 (厳密に言えば、最初のコーヒ等の量を上回る値を減らすことなどには意味がない。 これはこの比喩の限界である。) 多変数関数の微分なども、この伝で説明できるのであるが、ここではそれについては これ以上は触れない。
さて、レシピを作る時に、分かりやすいのは、
の量を混ぜ込んだり、減らしたりすることで、 これは基本ベクトル
しかし、粉ミルクや砂糖ではなくて、牛乳や液体砂糖(これらは水分を含む)を 使っているかも知れない。この場合、牛乳を足すと水分も増える(結果として コーヒは少し薄くなる。)ということに注意を払わなければならない。 そう。牛乳を加えるということは、例えば
さて、粉コーヒ,水,砂糖、粉ミルク,牛乳,液体砂糖とでてきた。 それ以外にもコーヒと粉ミルクを混ぜた「インスタントミルクコーヒの粉」
これらのレシピからの量を増やしたり減らしたりして 好みの味を作りたいわけだが、今は4成分の量のみを問題にしているので、 言うまでもなくこれらの全てを増減させなくてもよい。
水分が足らないと思ったら、牛乳を足して、そのぶん粉ミルクを減らす (現実的には、粉ミルクの代わりに牛乳を使う、ということが多いだろうが) という方法も使えるわけだ。
ひとことで言うと、4つの成分を調整するのに、そんなにたくさんの材料を 増減する必要はない。4つで十分である。その4つは先のベクトルに対応する 4つであってもよいし、それ以外でも良い。ただし、たとえば、
水、粉ミルク、砂糖,牛乳
ではコーヒの量が調整できない。 これは4つと言っても水+粉ミルクで牛乳の代用ができるわけだから、 実質的には材料は3つなわけだ。
同様に、
砂糖、粉ミルク、液体砂糖、牛乳、水
でもダメである。これは5つもあるのにやっぱりコーヒ成分が調節できない。 やっぱり実質的には材料は3つなわけだ。
実質的に何個材料があるか、これに答えるのがベクトルの一次独立、 一次従属(線型独立、線型従属ともいう)の考え方である。