「族」について話す必要がある。 多様体などの「空間」$M$ を考える。各点 $x \in M$ 上に仮想的に人間が いると考えて、それぞれの人がそれぞれ独自に(別々に)数学の問題を考えている ことを想像するとよい。考える数学の内容は微分積分学、線形代数学など 様々だが、今回は「ベクトル空間、その元、テンソル積、etc」を考えている 図を想像する。 (実際には $x$ に関する 連続性、可微分性 etc を満たすもののみを考えることが多い。)

一般に多様体 $M$ に対して各点 $x \in M$ にベクトル空間 $V_x$ が 与えられているような状況を考える。これをベクトル空間の族とよび、 % latex2html id marker 1167
$ \{V_x \quad (x\in M)\}$ と書くことにする。 ( % latex2html id marker 1169
$ \{V_x \quad (x\in M)\}$ のことを以下では $V$ と略すことがある。) さらに、各 $x \in M$ にたいして、 $V_x$ の元 $v_x$ をそれぞれ与えたとき、 $\{v_x (x\in M)\}$$V$ の場 とよぶ。

$V=\{V_x (x\in M)\}$ と同じように $W=\{W_x (x\in M)\}$ が与えられたとしたとき、新しい族

% latex2html id marker 1187
$\displaystyle \{V_x \otimes W_x \qquad (x\in M)\}
$

を考えることができる。これが族 $V$$W$ のテンソル積である。