次のことはよく用いる。
命題 1.1
が
上で可約なら、
任意の素数
に対し、
は
上可約である。
たとえば次のような
の元の因数分解を考えよう。
(先に言葉の注意をしておく。これは環論的に言えば
での
因数分解とも言えるし、多項式の言葉で言えば
上の因数分解と言っても良い。)
これはそのまま素数 に依存して定義される剰余環
での因数分解とも考えられる。整数 の
でのクラスを
と書くと、
これが命題1.1 の意味である。
(実際には は素数でなくても整数であれば構わない。しかし が素数ならば
が体であるという利点があるので以下では主に が素数の場合を
かんがえよう。
は体なので
とも書くのであった。)
この分解についてもう少し考えてみる。
では
の元は
のどれかに等しいから書き換えると:
のことは と書いてしまえば、
上で考えているという注釈
(
と略記することで以下では表現する)
のもとで
同様に、同じような注釈を書き加えておけば、
を得る。
もっとも、
と書いておけばすべての素数 についていっぺんに書くことができるわけだが。
命題1.1 の対偶をとると次の命題を得る。
命題 1.2
ある素数
について
が
上既約ならば、
は
上で既約である。