体論要約 No.10

[ガロア対応の証明]

$K$ のガロア拡大 $L$ が与えられているとする。 $G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 $H$ に対して、

$\displaystyle \mathcal F(H) = \{ x \in L; g.x = x (\forall g \in H)\}(=L^H)
$

と定義する。$L$$K$ の中間体 $M$ に対して、

$\displaystyle \mathcal G(M)=\{ g \in G; g.x=x (\forall x \in M)\}(=\operatorname{Gal}(L/M))
$

と定義する。この時、次のことが成り立つ。(単調減少性)
  1. $G$ の任意の部分群 $H_1,H_2$ に対して、

    $\displaystyle H_1\subset H_2 \implies \mathcal F (H_1)\supset \mathcal F(H_2).
$

  2. $L/K$ の任意の中間体 $M_1,M_2$ に対して、

    $\displaystyle M_1\subset M_2 \implies \mathcal G (M_1)\supset \mathcal G(M_2).
$

  3. $G$ の任意の部分群 $H$ にたいして、

    $\displaystyle \mathcal G (\mathcal F(H)) \supset H.
$

  4. $L/K$ の任意の中間体 $M$ に対して、

    $\displaystyle \mathcal F(\mathcal G(M))\supset M.
$

実は、上の (1)-(4) から、全く形式的な計算で次のことが成り立つことがわかる。

("3回=1回")

  1. $G$ の任意の部分群 $H$ にたいして、

    $\displaystyle \mathcal F (\mathcal G (\mathcal F(H))) =\mathcal F(H).
$

  2. $L/K$ の任意の中間体 $M$ に対して、

    $\displaystyle \mathcal G (\mathcal F(\mathcal G(M)))=\mathcal G(M).
$

ガロア理論では、さらに次のことが分かる。(狭義単調減少性)

  1. $G$ の任意の部分群 $H_1,H_2$ に対して、

    $\displaystyle H_1\subset H_2, \mathcal F(H_1)= \mathcal F(H_2) \implies H_1=H_2
$

    (補題9.2による。)
  2. $L/K$ の任意の中間体 $M_1,M_2$ に対して、

    $\displaystyle M_1\subset M_2 , \mathcal G (M_1)=\mathcal G(M_2) \implies M_1 = M_2.
$

    (ガロアの等式による。)

このことから、最後に次のことが分かる。

("2回=0回")

  1. $G$ の任意の部分群 $H$ にたいして、

    $\displaystyle \mathcal G (\mathcal F(H)) = H.
$

  2. $L/K$ の任意の中間体 $M$ に対して、

    $\displaystyle \mathcal F(\mathcal G(M))=M.
$