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論理と集合要約 No.11

写像 $ f$ があると定義域の集合は $ f$ の 値によってクラス分けされるのでした。

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第11回目の主題 : \fbox{クラス分けと同値関係}

集合 $ X$ をクラス分けする際、「クラス分けの表」を書くのは面倒である。 ほかの有力な手段として、「同値関係」を導入する方法がある。

問題 11.1   $ X=\{1,2,3,\dots,31\}$ , $ Y=\{0,1,2,\dots,6\}$ , $ f: X \to Y$

$ f(x)=$ ($ x$$ 7$ で割った余り)で定義するとき、

  1. $ X$$ f$ に関するクラス分けの表を書きなさい。
  2. $ 1$ と同じクラスになる $ X$ の元をすべて書きなさい。
  3. $ 2$ と同じクラスになる $ X$ の元をすべて書きなさい。

一般に、集合 $ X$ にクラス分けが定まっているとき、$ x\in X$ と 同じクラスの元全体の集合を $ [x]$ とか $ \bar{x}$ と書く。 (クラス分けがいろいろ出てきて区別が必要なときには、その都度 $ [x]_1$ とか 添字をつけて区別するのが良かろう) 字面だけみると、面白いことが起こる。 例えば、上の例では

$\displaystyle [1]=[8] (=[15])
$

等々。

クラスは、元来は集合であるが、これを一つの元と改めて思い直すことにより、 $ X$クラス全体の集合を考えることができる。これを $ X$ のこのクラス分けに関する商集合といい、 $ X/($クラス分け$ )$ と書く。 上の例では、

$\displaystyle X/($クラス分け$\displaystyle )=\{[0],[1],[2],[3],[4],[5],[6]\}.
$

問題 11.2   有限集合 $ X=\{1,2,3,\dots, 15\}$ をいくつかの黒い線分で結ぶ。 (ウラ面参照。) このとき、$ X$ の点を 「黒い線づたいにつなげるか否か」で クラス分けすることができる。 このクラス分けの表を書き、 $ X/$(クラス分け) の 元の個数を書きなさい。

上の問題のように、「同じクラスか否か」のほうが先に分かっていれば、 それをもとにクラス分けができる。これが同値関係の考え方である。

問題 11.3   $ X=\{-10,-9,-8,\dots, 8,9,10\}$ (絶対値が $ 10$ 以下の整数)とする。このとき、
  1. $ \vert x\vert=\vert y\vert$ のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、と決めることにより、 $ X$ をクラス分けしその表を書け。
  2. $ x-y$$ 3$ の倍数のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、 と決めることにより、 $ X$ をクラス分けしその表を書け。
  3. $ x-y$$ 5$ の倍数のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、 と決めることにより、 $ X$ をクラス分けしその表を書け。
  4. % latex2html id marker 1010
$ x\geq y$ のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、 と決めることにより、 $ X$ をクラス分けできるだろうか。

  5. % latex2html id marker 1018
$ xy\geq 0$ のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、 と決めることにより、 $ X$ をクラス分けできるだろうか。
  6. $ xy>0$ のとき(のみ) $ x$$ y$ が同じクラス、 と決めることにより、 $ X$ をクラス分けできるだろうか。

上で、$ x$$ y$ が同じクラス、といちいち書くのは面倒である。そこで、 $ x \sim y$% latex2html id marker 1040
$ x\equiv y$ のような記号を用いて書くことが多い。 いずれにしても、勝手な規則で 「同じクラス」を定めようとしてもうまく行かない。

うまく行くために必要な事柄を集めたのが、同値関係である。

定義 11.1   $ \sim $ が集合 $ X$ の同値関係であるとは、次のことを満たすときにいう。

  1. 任意の $ a,b\in X$ に対して、$ a\sim b$ か、そうでないかがはっきりと決まって いる。
  2. (推移律) $ a,b,c\in X$ が、 $ a \sim b , b\sim c$ を満たせば、 $ a \sim c$ も成り立って いる。
  3. (反射律) 任意の $ a\in X$ に対して、$ a\sim a$ が成り立っている。
  4. (対称律) $ a,b\in X$ が、$ a\sim b$ を満たせば、$ b\sim a$ も成り立っている。

同値関係は、同じクラスかどうかの判定のルールがきちんと機能するためのルール (「ルールのルール」)である。 &dotfill#dotfill;

\includegraphics[scale=0.5]{inu.ps}


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Yoshifumi Tsuchimoto 2016-06-24