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論理と集合要約 No.3

第3回目の主題 : \fbox{命題の否定と集合の補集合}

◎ and, or の否定

問題 3.1       not $ (P$$ \text { and } Q)$ $ ($ not $ P)$$ \text { or } (\text{ not } Q)$ とが 同値であることを真理表を用いて示しなさい。

$ P\implies Q$ の否定

$ P\implies Q$ $ ($ not $ P)$    or $ Q $ と同値であったので、 その否定は $ P$    and $ ($not $ Q) $ で与えられる。

$ \forall, \exists$ の否定

「すべての $ X$ の元 $ x$ について $ P(x)$ が成り立つ」、すなわち

$\displaystyle \forall x \in X \ (P(x)) $

の否定は 「ある $ X$ の元 $ x$ について $ P(x)$ が成り立たない」、すなわち

$\displaystyle \exists x \in X \ ($ not $\displaystyle P(x) )$

である。

同様に、

$\displaystyle \exists x \in X \ (P(x)) $

の否定は

$\displaystyle \forall x \in X \ ($ not $\displaystyle P(x) )$

である。

実際の場面では、上の$ x\in X$ のように $ x$ の制限を「集合の元か否か」 で書くとは限らず、そのまま条件で書くことも多い。以下の例を参照のこと。

例 3.1  

$\displaystyle \forall \epsilon >0
\exists \delta >0
\forall x \in$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$$\displaystyle \
(\vert x-3\vert<\delta \implies \vert x^2-9\vert<\epsilon)
$

( $ x \mapsto x^2$$ x=3$ で連続であるという命題(真))の否定は

$\displaystyle \exists \epsilon >0 \forall \delta >0 \exists x \in$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$$\displaystyle \ ($ not $\displaystyle (\vert x-3\vert<\delta \implies \vert x^2-9\vert<\epsilon))$ (★)

( $ x \mapsto x^2$$ x=3$ で連続でないという命題(偽)) である。 このように、$ \forall$$ \exists$ が散在する命題の否定は、

という手続きで得られる。

さらに、命題(★)は、(「P $ \implies$ Q」の否定が 「 $ P$ and( not $ Q $ )」 であったことから、)

$\displaystyle \exists \epsilon >0 \forall \delta >0 \exists x \in$   $\displaystyle \mbox{${\mathbb{R}}$}$$\displaystyle \ (\vert x-3\vert<\delta$    and % latex2html id marker 974
$\displaystyle \vert x^2-9\vert\geq \epsilon)
$

と書き換えられる。

問題 3.2   つぎの各々の命題の否定をそれぞれ述べなさい。
  1. $ \forall x \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \exists y \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \ (x+ y=0)
$
  2. $ \forall x \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \forall z \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ \exists y \in$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$% latex2html id marker 993
$ \ (x y\neq z)
$

集合 $ X$$ S$ が与えられたとき、

$\displaystyle X\setminus S= \{ x; x \in X$    and $\displaystyle x \notin S\}
$

$ X$$ S$差集合という。 ($ X-S$ と書く流儀もあり、本講義の教科書では そう書いてある。)

とくに、$ S$$ X$ の部分集合の時、 $ X\setminus S$$ X$ における補集合 とよぶ。 $ X$ が分かりきっているときには $ \complement S$ と書くこともある。


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Yoshifumi Tsuchimoto 2016-04-21