第5回目の主題 :
論理と集合は裏腹の関係にあり、集合の包含関係(含む、含まれるの関係)は 対応する論理で証明するのが良いのでした。
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◎直積集合
一般に, 元 と 元 を順序をつけて並べたもの を のペア(組)と呼ぶ。 が実数の場合には開区間と全く同じ記号になってしまっていて、 紛らわしいのだが、 区別するときには「区間 」,「ペア(組) 」と前につけると 良いだろう。
を と の直積集合といい、 で書き表す。
もっと一般に、 集合族 に対して、
を の直積集合といい、 で書き表す。
直積集合は「積の集合」ではない。そのことを強調するため、 直積集合のことを「デカルト積集合」とか「集合としての直積」と呼ぶこともある。
のことを , のことを 等と 略記する。
が出てきたついでに、それを扱う際に基本になる 「開集合、閉集合」について 説明しておこう。
以下では絶対値の性質を用いる。高校でよく出てくる性質の他、大切なのは
という性質であろう。この不等式は三角不等式と呼ばれる。
にたいし、そのノルム (ユークリッドノルム)を
で定義する。このとき、 , にたいして、
がなりたつ。(三角不等式。) このことの証明は内積の定義と性質を用いたほうが良いので ここでは省く。興味のある人は線形代数の教科書を見てみること。
一般に、 と に対して、
( を中心とする半径 のボール。)とおく。
が成り立つことを証明せよ。
一般に、 と に対して、 を中心とした半径 の開球体を
で、また、閉球体を
でそれぞれ定義する。
の部分集合 は
を満たすとき、(通常位相に関して)開集合であると呼ばれる。 開集合とは、「境界を含まない集合」ということの数学的な表現である。
開集合というものをベースにして、「遠い」「近い」「つながっている」などの 概念を数学的に取り扱えるようにしたものが位相空間論である。 位相空間論は現代数学において大変重要な位置を占めていて、 進んで数学を学びたい人は、例えば微分積分学の学習と並行して学習してみるのも オススメである。
「境界」という言葉自体も数学的に表現できるが、 ここではそこまでは踏み込まないことにする。
であることを示しなさい。
一般に、開集合の2つの共通部分は開集合だが、 無限個の共通部分は開集合とは限らない。
今回は、「ノルム」として標準的なもの(ユークリッドノルム)を用いたが、 それ以外の「ノルム」に関しても の位相が定義され、 じつは結局それらは一致する。つまり、 与えられた集合が開集合かどうかは どのノルムで考えても、 変わらない。このことは、開集合という概念がノルムより基本にあることを 意味している。