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![\begin{itembox}[l]{基本仮定}
$k$\ は体であるとし、ある正の整数...
...まる。 これにより、$V$\ を $k[X]$-加群と見よう。
\end{itembox}](img1.png) 
![$ k[X]$](img2.png) は PID であるから、一般論(命題10.7)により、
次の命題が成り立つことがわかる。
 は PID であるから、一般論(命題10.7)により、
次の命題が成り立つことがわかる。
 は
 は 
![$ k[X]/(p(X)^e) $](img4.png) (
 ( は
 は ![$ k[X]$](img2.png) の素元。
 の素元。 は正の整数) の形の
 は正の整数) の形の
![$ k[X]$](img2.png) -加群の直和である。
-加群の直和である。

![$ [X]/(X^2+1)$](img16.png) の基底として
 の基底として 
![$ b_0=[1]_{X^2+1}, b_1=[X]_{X^2+1}$](img17.png) が取れる。
 が取れる。
 のこの基底への作用は、
 のこの基底への作用は、
|  | ||
|  | 
 
 が代数的閉体であるとは、
 が代数的閉体であるとは、 上の任意の(次数が
 上の任意の(次数が  以上の)
一変数多項式
 以上の)
一変数多項式  が
一次式の積に分解するときに言う。
 が
一次式の積に分解するときに言う。
複素数体 
 は代数的閉体であることが知られている。任意の体
 は代数的閉体であることが知られている。任意の体  に対して、
それを含むような最小の代数的閉体
 に対して、
それを含むような最小の代数的閉体  が存在することが
知られている。このような
 が存在することが
知られている。このような  のことを
 のことを  の代数的閉包
と呼ぶ。
 の代数的閉包
と呼ぶ。
以下、 が代数的閉体のときを主に考える。このときには
 が代数的閉体のときを主に考える。このときには  上の一変数
既約多項式は一次式に限るから、次のことがわかる。
 上の一変数
既約多項式は一次式に限るから、次のことがわかる。
 が代数的閉体であるとき、
 が代数的閉体であるとき、 
 は
 は 
![$ k[X]/((X-c)^e)$](img25.png) (
 ( ,
, 
 ) の形の
) の形の ![$ k[X]$](img2.png) -加群と同型である。
-加群と同型である。
命題11.2のような基底を取れば、
![$ k[X]/(X-c)^e$](img28.png) 上の
 上の
 の作用の表現を得ることができるが、
 の作用の表現を得ることができるが、 だけずらすことによって、
さらに良い基底を取ることもできる。
 だけずらすことによって、
さらに良い基底を取ることもできる。
![$ k[X]/((X-c)^e)$](img25.png) の基底として、
 の基底として、
![% latex2html id marker 1079
$\displaystyle \{b_l=[(X-c)^l]_f ; \qquad (l=0,1,2,\dots, e -1) \}
$](img30.png) 
が取れる。
 の作用は
 の作用は
 
と書き下せる。行列で書くと
 
もしくは、基底の順番を取り換えて、
 
ただし
 はジョルダン細胞と呼ばれる次のような行列である。
 はジョルダン細胞と呼ばれる次のような行列である。
 
 上の行列
 上の行列 
 が与えられたとき、
うまい基底変換行列
 が与えられたとき、
うまい基底変換行列 
 をとれば、
 をとれば、
 
とジョルダン細胞の「直和」に分解される。
 で、
 で、
 
のとき、基本仮定のようにして
 を
 を 
![$ {\mathbb{C}}[X]$](img42.png) 加群と見よう。
このとき、
 加群と見よう。
このとき、  は
 は ![$ k[X]$](img2.png) 上
 上 
 で生成されることを示しなさい。
 で生成されることを示しなさい。
![$ {\mathbb{C}}[X]$](img42.png) -加群の同型
-加群の同型 
![$ {\mathbb{C}}[X]/(X-2)(X-3) \cong V$](img44.png) を作ってみせなさい。
 
を作ってみせなさい。
 
 
 
 
