抽象的ベクトル空間、ベクトル空間の部分空間。一次独立性
実数直線も、
も、「同じ形」をしている。 このような2つを同時に扱うのには、成分を見るのではなく、 和と、スカラー倍という道具のみを用いて記述することが 大事になる。 そもそも、成分を扱ってばかりいるのではベクトルを研究する意味がない。
上で「 」とあるところをことごとく「 」で置き換えると、 複素数体上のベクトル空間の定義になる。更に、 のところを 体(加減乗除について閉じたような集合) で置き換えて、 上のベクトル空間 の定義を与えることができる。
を満たすときにいう。 が一次従属でない場合には、 一次独立であると呼ばれる。
要するに、一次従属であるとは、与えられたベクトルの間に 関係式が存在することである。 一次独立かそうでない(一次従属)か、 は和とスカラー倍のみを用いて記述されており、 成分の値については直接は言及していない。いかにも線形代数的な概念である。
で定めると、 は一次従属である。 であるからである。
で定めると、 は一次従属である。 であるからである。
で定めると、 は一次従属である。 であるからである。
とおくと、 は一次独立である。 実際、
とすると、
で、これを解くと を得るからである。
※レポート問題
とおくと、 は一次独立だろうか、 それとも一次従属だろうか。 理由を挙げて答えなさい。