《多項式環は素元分解環である》
に同値関係を
で定義する。 のこの同値関係によるクラスを と書く。 に和、積を
で定義すると、これらはうまく定義されて, は体になる。
定理 13.1 の証明には、 の素因数分解を利用して の素因数分解をすることを考える。 そのために次の概念を用いよう。
多項式の係数の「共通因数」をくくり出すことにより、次のことが言える。
と書くことができる。 は同伴を除いて一意的である。
(2) は (1)からすぐに従う。
(3): (a) (b) は補題10.3の (1) から従う。 はユークリッド整域であるから、一意分解環。ゆえに、 (c) (d) である。
(b) (c): は の原始的既約元であるとする。 がもし で既約でなければ、
( , は原始的かつ1次以上) なる が存在することが分かる。 は(2)により原始的であるから。 と は同伴。 そのことから、
がわかる。これは が の既約元であることに反する。
(d) (a): は の原始的な元で、 の素元であるとする。 なる があるとすると、 のなかで 考えることにより
がわかる。どちらでもおなじことであるから としよう。 一般性を失うことなく、 は原始的であると仮定してよい。 から
なる と、 原始的な元 の存在が分かる。 再び (2)のより、 と とは同伴であることを知る。したがって、 .