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代数学III要約 No.10

今日のテーマ: \fbox{ガロア対応}

定義 10.1   体 $ K$ とその拡大体 $ L$ が与えられたとき、$ L$ の部分体 $ M$ で、 $ K$ を部分体として含むもののことを $ L$$ K$ のあいだの 中間体と呼ぶ。

補題 10.2   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ が与えられているとする。このとき、 $ K$$ L$ の中間体 $ M$ に対し、
  1. $ L$$ M$ の有限次ガロア拡大でもある。
  2. ガロア群 $ H=\operatorname{Gal}(L/M)$ は ガロア群 $ G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 とみなすことができる。

定義 10.3   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ が与えられているとする。このとき、 ガロア群 $ G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 $ H$ に対して、

% latex2html id marker 864
$\displaystyle L^H=\{ x \in L;\quad \sigma(x)=x \qquad (\forall \sigma \in H)\}
$

とおく。これは $ K$$ L$ の中間体であり、 これを $ H$固定体(もしくは 不変体)と呼ぶ。

補題 10.4   体 $ K$ の有限次ガロア拡大 $ L$ が与えられているとする。このとき、 ガロア群 $ G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 $ H$ に対して、
  1. $ M=L^H$$ K$$ L$ の中間体である。
  2. $ \vert L:K\vert=\vert H\vert$ .

定理 10.5   体 $ K$ の有限次ガロア拡大体 $ L$ が与えられたとき、 $ G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の 部分群 $ H$ と、$ K$$ L$ のあいだの中間体とは上の二つの補題にある対応で 一対一に対応する。

系 10.6   体 $ K$ と 体 $ K$ の有限次ガロア拡大体 $ L$ が与えられたとき、$ K$$ L$ のあいだの 中間体は有限個しかない。

問題 10.1   $ L=$$ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 932
$ (\sqrt{3}+\sqrt{5})$ $ K=$$ \mbox{${\mathbb{Q}}$}$ のあいだの中間体で、 $ L$ とも $ K$ とも異なるものをひとつ挙げよ。 理由も書くこと。

問題 10.2   前問で、中間体をすべて挙げよ。



2010-12-28