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代数学II試験問題


\begin{q}
${\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$-加群 $M_0={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/42{\mbox{$...
...$M_0$\ と
同型だとすると、xxx の関係から $m=...$\ でなければならない。)}
\end{q}

\begin{q}
${\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/221{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\times {\mbox{${\ma...
...}$}}$\ は
ある有限巡回加群と同型だろうか。理由(証明)をつけて述べなさい。
\end{q}


\begin{q}
行列 $L$\ を、
\begin{displaymath}
L=
\begin{pmatrix}
66 & 40 \\
78 &...
...い。
\item $N$\ を巡回加群の直和として表現しなさい。
\end{enumerate}\par
\end{q}
解答編
\begin{q}
${\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$-加群 $M_0={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/42{\mbox{$...
...$M_0$\ と
同型だとすると、xxx の関係から $m=...$\ でなければならない。)}
\end{q}

解答   もし仮に $ M_0={\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/42{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\oplus {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/35{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ が巡回加群と同型だとすると、 位数の関係から $ M_0\cong {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/1470{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ でなければならない。 とくに $ M_0$ には $ 1470$ 倍して初めて 0 になる元 $ [1]_{1470}$ が 存在することになる。 ところが $ M_0$ の任意の元 $ x$$ 210 x =0$ をみたすから これは不可能である。


\begin{q}
${\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/221{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\times {\mbox{${\ma...
...}$}}$\ は
ある有限巡回加群と同型だろうか。理由(証明)をつけて述べなさい。
\end{q}

解答   同型である。準同型写像

$\displaystyle f: {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\ni n \mapsto ([n]_{221},[n]_{209})\in ...
...box{${\mathbb{Z}}$}}\oplus {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/209 {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}
$

に対して 準同型定理を適用すればわかる。


\begin{q}
行列 $L$\ を、
\begin{displaymath}
L=
\begin{pmatrix}
66 & 40 \\
78 &...
...い。
\item $N$\ を巡回加群の直和として表現しなさい。
\end{enumerate}\par
\end{q}

解答  

(1) $ [e_1]=[e_2]$ であるとすると、 $ e_1 -e_2 \in f(M_1)$ となる。 すなわち、ある $ a,b\in {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ が存在して、

$\displaystyle \begin{pmatrix}1 \\ -1 \end{pmatrix} = L \begin{pmatrix}a \\ b \end{pmatrix}$ (16.1)

がなりたつ。ところがこれを有理数の範囲で解くと、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
a \\
b
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
11/6 \\
-3
\end{pmatrix}.
$

が(16.1)の唯一の解であることがわかる。すなわち、(16.1) を みたす整数 $ a,b$ は存在しない。これは矛盾である。 (本問と (2)とを効率よく求めるためには $ L^{-1}$ を計算しておけばよい。)

(2)

% latex2html id marker 1724
$\displaystyle 6
\begin{pmatrix}
5 \\
7
\end{pmatr...
...\begin{pmatrix}
2 \\
3
\end{pmatrix}=
L
\begin{pmatrix}
-4 \\
7
\end{pmatrix}$

という関係式が存在するからである。

(3) 以下、行列による略記法を用いよう。わかりにくい場合には 適宜成分ごとに書いてみると良い。

$\displaystyle B=
\begin{pmatrix}
30 & 16 \\
42 & 24
\end{pmatrix}(=
\begin{pmatrix}
5 & 2 \\
7 & 3
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
6 & 0 \\
0 & 8
\end{pmatrix})
$

とおくと、

$\displaystyle (w_1\ w_2) B=0
$

である。

% latex2html id marker 1730
$\displaystyle L=B C \qquad
(C=
\begin{pmatrix}
7 & 4 \\
-9 & -5
\end{pmatrix})
$

であるから、

$\displaystyle (w_1 \ w_2)L= (w_1\ w_2)B C= (0\ 0) C=0
$

(4) $ N$ の 生成元として $ m_1=[e_1]$ , $ m_2=[e_2]$ を取ることができる。 その基本関係式は(行列記法を用いて略記すると)

$\displaystyle (m_1 \ m_2)
L=(0 \ 0 )
$

である。 この関係式を簡単にしよう。 (2),(3) により、(あるいは、 $ \operatorname{det}(C)=1 $$ C$ $ M_2({\mbox{${\mathbb{Z}}$}})$ の 可逆元であることにより、) 上の関係式は

$\displaystyle (m_1\ m_2)B=(0 \ 0)
$

と同値である。 他方

$\displaystyle (m_1' \ m_2')=
(m_1 \ m_2)
\begin{pmatrix}
5 & 2 \\
7 & 3
\end{pmatrix}$

は基本変換の一つであり、上記関係式を $ m_1',m_2'$ で書けば、

% latex2html id marker 1754
$\displaystyle 6 m_1'=0, \quad
8 m_2'=0
$

であることがわかる。 すなわち、

$\displaystyle N\cong {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/6{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}\oplus {\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/8{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}.
$

[本問のキーになるのは、(2)の解答のところの 等式をひとつにまとめた

$\displaystyle \begin{pmatrix}
5 & 2 \\
7 & 3
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
6 & 0 \\
0 & 8
\end{pmatrix}(=B)
=
L
\begin{pmatrix}
-5 & -4 \\
9 & 7
\end{pmatrix}$

があって、この式に登場する

% latex2html id marker 1760
$\displaystyle \begin{pmatrix}
5 & 2 \\
7 & 3
\end{pmatrix},\qquad
\begin{pmatrix}
-5 & -4 \\
9 & 7
\end{pmatrix}(=C^{-1})
$

の二つの行列は整数係数の逆行列をもつという部分である。 ]


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2010-08-09