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解析学 IA No.10要約
多変数関数の(リーマン)積分
の部分集合
上で定義された実数値もしくはベクトル値関数
に対して、
の
上の積分(定積分)は次のように定義される。
-
を小さい部分集合
の和に分ける。
-
を 各
上で定数値関数
で近似する。
- 積分値の一つの近似として、
を得る。
ただし
は
の体積である。
- 細分
を細かくしたとき、上のような近似が近づく値があるなら、
それを
と定義する。
問題がいくつかある。
- 小さい集合
の体積
は如何に定義されるだろうか。
これには次元
について帰納的に議論し、
次元の積分で定義するか、
もしくは
として直方体のような限定的なもののみを扱う方法がある。
-
として直方体のような限定的なものを使う場合、
をそのようなもので
過不足なく覆うことが難しくなる。
これには若干の「はみ出し」もしくは「不足部分」を許して、
あとでそれらの寄与が十分小さくなることを示す方法がある。
- 細分を細かくするとき、はたして本当に和
は
小さくなるだろうか。これは
がどのような関数かによって変わってくる。
(コンパクト集合上の連続関数なら各
上で一様近似できるだろう。)
- このような積分は座標の取り方によらないだろうか? (「直方体」は
明白に座標の取り方に依存する。すなわち、直方体は座標変換すると別のモノになって
しまう。)
リーマン積分はこれらの問題点に解答を与えるが、十分とは言えない。
徹底的に解決するためにはルベーグ積分をオススメする。
そうは言っても、「なんでもかんでもルベーグ積分」では成金趣味が見えかくれして
イヤなので、ちょっとぐらいは扱っておこう。
命題 10.1
ジョルダンの外測度の定義で、
を覆う区間直方体は互いに交わらない
もののみに限定しても結果はおなじである。
上の命題はジョルダン流の、「有限の区間直方体で覆う」から正しい
命題で、ルベーグ流の、「可算個で覆う」方法ではもはやなりたたない。
系 10.2
- 区間直方体は測度確定であり、
.
- 一般の有界集合
にたいして、
がなりたつ。
上のことがあるから、
測度確定の場合に
のことを単に
と書いても差し支えない。
問題 10.1
平面三角形
を区間長方形で覆って、
を証明しなさい。
逆写像定理の証明
定理9.1 の記号でつぎのような計算を行うと、
を止めるごとに、
が縮小写像であること
(したがって補題9.3が正しいこと)が言える。
も証明すべきだが、それは「練習問題」として
残しておこう。(レポート問題ではない。))
上の補題の主張(3)により、補題9.3 の「各点収束」は実は「一様収束」と
言っても正しいことが分かる。連続関数の一様極限は連続であるから、
は連続関数である。
の定義により、
であることは容易に分かる。あとは
研究に任せよう。
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2009-06-26