今回から、関数の話に話題の重点をうつす。
これから、 「 の近くで定義されている(実数値)関数 」 という言い方をもちいることがある。これは、 次の二つの状況を同時に満足していることを 言い表す言葉である。
は実数 の近くで定義された関数であるとする。このとき、 が に近づくときの の極限値 は である (「 のとき は に収束する」とも言う) とは、
が満たされるときに言う。
のような不定形の極限を相手にすることが多いからである。 )
とかく。
は実数 の近くで定義された関数であるとする。このとき、 が に近づくときの の右極限値 は である (「 のとき は に収束する」とも言う) とは、
が満たされるときに言う。 および が与えられたとき、右極限値が もし存在すれば一意的である。これを
と書く。左極限値も同様に定義される。
はいくらか。(結果が正しいことを極限の定義に基づいて証明せよ。)
前回、「アクションプラン」と題して何か喋りましたが、 それは、この間のアンケートの結果を踏まえたもので、 その要点は:
◎ いつになったら
という数列を考えよう。 意訳すれば、コビトサンが一日に一度数字を作ってくれていると考えれば良い。
1日目 | ||
2日目 | ||
3日目 | ||
4日目 | ||
5日目 | ||
6日目 | ||
7日目 |
いつになったら の値は より小さくなるだろうか。
答は101日目。
いつになったら の値は より小さくなるだろうか。
答は1001日目。
いつになったら の値は より小さくなるだろうか。
(ちょっと考えて)答は4274日目。
いちいち聞かれていては面倒だ。記号を用いて自動化しよう。
いつになったら の値は より小さくなるだろうか。
答は ( より大きい最小の整数)日目。
同様に、いつになったら
と との差は 以下になるだろう。
◎「論理的な計算」を理解するために
(a)表には数、裏にはアルファベットの書かれたカードが4枚ある。 それらは A, K, 4, 7 であった。 それらのカードのことごとくが 「母音の裏側の数字は必ず偶数になっている」 というルールを満足していることを確かめるためには、 最低で何枚のカードをめくる必要があるか。(それらはどのカードか。)
(b)4人のヒトがいる。
詳細は「偶数」「母音」でネットを検索すると良い。 どちらの問題が分かりやすいだろうか。(爆問学問 File-071より)
◎レポートの解答から
◯ 問題6.2 では、 が有界であることを証明するのが ポイントである。 「 が有界として」 とか 「 が有界と仮定する」で解答が始まるのはのっけからオカシイ。
◯ が に収束するということを縮めて と書くのである。 は 「 が に収束するので、 」 などと書くのは、全く理解しないという印象を与える。
◯ 収束列が単調とは限らない。 例えば は 0 に 収束するし、 は に収束する。
◯ 「数列が有界である」とは 全体が ある区間 に すっぽりと入ることを意味している。 一つ一つの元が有界であるからといって、全体が有界であるとは限らない。