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複素数と論理(学問基礎数学コース演習) No.4
前回までに、
任意の複素数複素数
にたいして、
がなりたつ
ということを証明した。
これは、
を全てまとめて証明したことと同じである。このように、
文字を用いていろいろな場合を
ひっくるめて証明してしまうと効率的に議論を運ぶことができる。
「任意の複素数
に対して」ということを式で表現するためには
という記号をもちいて、
とか、
|
(☆) |
と書く。
これが正しいということは、「水の洩れるような穴がない」すなわち、
|
(★) |
のようなことが起こらない、ということである。
(★) と (☆) は、互いに一方の否定である。相手が間違っている
ということを示すには相手の主張の否定を証明することになる。
と
の順番(変数の登場順序)にも注意しよう。
は正しい命題であるが、
はまったく正しくない命題である。
や
を含むような命題の否定命題を作るのは
たいへん簡単な規則があることにも注意しよう。
たとえば、
は数の集合であるとして、
|
(AS) |
の否定は
|
(BS) |
であることを、確かめて頂きたい。
例題 4.1
のときと
のときのそれぞれに対して、(AS) と (BS)
のどちらが正しいか、考えてみなさい。
定義 4.1
0
でない複素数
と、実軸の正の部分のなす角を
の
偏角といい、
で書き表す。
偏角は一意には定まらない、ということに注意しよう。
が
の
偏角なら、
もそうである。
すなわち、
の偏角の全体は
という集合をなすことが分かる。
そこで、偏角は
の範囲で選ぶ
(もしくは
の範囲で選ぶ)
ということが良く行われるが、これはいつもそうしなければならない
というわけではない。
定理 4.1
複素数
,
に対して、
-
-
がどちらも 0
でないとき、
-
がどちらも 0
でないとき、
が成り立つ。
補題 4.1
偏角が
であるような複素数
は
と書ける。(これを
の 極表示 という。)
とくに、
定理 4.2
任意の正の整数
にたいして、
をみたす複素数がちょうど
個あって、それらは
である。これらは
の
乗根と呼ばれる。
問題 4.1
複素数平面
上にあなたの好きな一点
(ただし、0
や
とは異なるもの)を
とり、
0
,
,
をプロットして線分で結んでみなさい。
どんな図形ができるでしょうか。
ただし、
とします。
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2009-01-27