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代数学 IB No.12要約
《素元分解環》(3)
命題 12.1
素元分解環
上の一変数多項式
について、
が
のなかで
の約元であるならば、
の定数項は
の定数項
の約数であり、
の最高次の係数は
の最高次の係数
の約数である。
の根で、
に含まれるものは必ず
なる形をしている。
例 12.1
とおく。
を
の元として 素元分解したい。
の根で
に属するものは
なる形をしている。(
通りの可能性がある。)
そのうち、本当に根であるものは
の一つのみである。
因数定理により、
は
を (環
のなかで)因数に持つ。
実際に割ってみると
ポイントは、上の因数分解で全体を定数倍だけ調節することにより、
の元としての因数分解を得られる所にある。
は有理数の根を持たない。
二次式をが可約であれば一次のの因子をもつはずである。 ゆえに
は
上既約である。
上既約な
上の原始的多項式であるから、
は
上既約である。 すなわち
が
の
の元としての 素元分解である。
問題 12.1
以上の整数
にたいして、
と定義する。このとき
が
の中で可約である(=既約でない)ような
の値を全て求めなさい。
2008-12-16