《素元分解環》(2)
今回は前回残した証明の残りを行ったあと、 多項式環の素元分解について論ずる。
と書くことができるが、この書き方は同伴を除いて一意的である。 すなわち、
は の素元 |
に同値関係を
で定義する。 のこの同値関係によるクラスを とかく。 に和、積を
で定義すると、これらはうまく定義されて, は環になる。
定理 11.3 の証明には、 の素因数分解を利用して の素因数分解をすることを考える。
次の概念を用いる。
UFD での素元分解の存在から、次のことが言える。
と書くことができる。 は同伴を除いて一意的である。
(b) (c): は の原始的既約元であるとする。 がもし で既約でなければ、
( , は原始的かつ1次以上) なる が存在することが分かる。 は(2)により原始的であるから。 と は同伴。 そのことから、
がわかる。これは が の既約元であることに反する。
(d) (a): は の原始的な元で、 の素元であるとする。 なる があるとすると、 のなかで 考えることにより
がわかる。どちらでもおなじことであるから としよう。 一般性を失うことなく、 は原始的であると仮定してよい。 から
なる と、 原始的な元 の存在が分かる。 再び (2)のより、 と とは同伴であることを知る。したがって、 .
が成り立つことを示しなさい。