Next: About this document ...
日本語技法 No.2
例を挙げること
定義を正しく行なった場合でも、
相手が正しく理解できているとは限らないし、
定義自体が不完全である場合もある。
そのような自体に備えて、例を挙げるのが重要である。
その他にも、例には次のような効用がある。
- 机上の空論になるのを避けることができる。
- 議論の重要な部分をより具体的に理解できる。
- 新しいアイディアを産むヒントになる。
- 正しくない議論を(反例を挙げることにより)避けることができる。
電気屋に行って、
「このコンピュータ壊れているんだけど...」
と言っている図を思い浮かべてみよう。
「壊れている」のを主張するのにはどのような言葉が効果的だろうか。
例を挙げるときには、次のことに注意すると良い。
- できるだけ単純な、誰でも理解できる例を挙げるように努力すること。
- (実験などの場合)例が再現性を持つことを確認しておくこと。
- その例が、今の議論にどのように適合するのか、説明すること。
- その例のもつ特殊事情、詳細もうまく説明できると説得力を持つ場合がある。
例は万能ではない。
電気屋が「ソフトAだったら完璧に動くんですけどねえ」
と言っても、それはコンピュータが壊れていない証明にはならない。
問題 2.1
「任意の整数
に対して
は素数である」は正しいだろうか。
2007-10-11