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数学概論1A要約 No.12

\fbox{逆関数・一様連続性}

定義 12.1 (``教科書1.1.4'')   関数 $ f:X\to Y$
  1. 単射 であるとは、

    $\displaystyle x_1,x_2 \in X , f(x_1)=f(x_2) \implies x_1=x_2
$

    言い換えると、

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$\displaystyle x_1,x_2 \in X , x_1\neq x_2 \implies f(x_1)\neq f(x_2)
$

    であるときにいう。
  2. 全射であるとは、

    $\displaystyle \forall y\in Y \exists x\in X ; f(x)=y
$

    であるときにいう。
  3. 全単射であるとは、単射でかつ全射でもある時に言う。

$ X$ が弓の集合、$ Y$ がトリの集合だとする。関数とは、 $ X$ のおのおのからひとつづつ矢を発射、それぞれどれかの トリに当てることを意味している。

$ f$ が単射であるとは、各々の矢がそれぞれ別のトリに 当たる(一つのトリに二つ以上の矢が当たることはない)と言う意味、 $ f$ が全射であるとは、すべての矢がそこにいる全てのトリにあたる という意味である。

同じ式でも定義域 $ X$ と 終域 $ Y$ が何であるかによって、全射か単射かは 異なる。 次のことは、簡単だが大変重要である。

定理 12.1  
  1. 関数 $ f:X\to Y$ が全単射ならば、 $ f$ の逆写像が存在する。
  2. 逆に 関数 $ f:X\to Y$ が逆写像を持つならば、$ f$ は全単射である。
  3. 関数 $ f$ の逆写像は、存在すれば一意的である。

連続関数の場合はどうであろうか。一変数では関数の単調性がキーになる。

定義 12.2 (``1.3.6'')   実数のある区間 $ I$ で定義された関数 $ f$ が狭義単調増加関数であるとは、

$\displaystyle x_1,x_2\in I , x_1< x_2  \implies  f(x_1)< f(x_2)
$

をみたすときにいう。

定理 12.2 (``教科書定理1.16'')   $ f$ が閉区間 $ [a,b]$ 上の狭義単調増加な連続関数であれば、

$\displaystyle f: [a,b] \to [f(a), f(b)]
$

の逆関数

$\displaystyle f^{-1}: [f(a),f(b)]\to [a,b]
$

が存在する。 さらに、この $ f^{-1}$ は連続で、かつ狭義単調増加である。

問題 12.1   $ f$ は閉区間 $ [0,1] $ 上の実数値連続関数 ( $ f:[0,1]\to$   $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ ) で、 $ f(0)<f(1)$ であるとする。 $ f$ が単射ならば、 $ f$ は狭義単調増加でなければ ならないことを証明しなさい。

話は全然違うが、時間が許せば次のことも証明しておこう。 (使うのは二学期の積分論のとき。)

定理 12.3   閉区間 $ [a,b]$ 上の連続関数 $ f$一様連続である。すなわち

$\displaystyle \forall \epsilon>0 \in [a,b] \exists \delta>0 ;
\forall x\in [a,...
... \in [a,b]
( \vert y-x\vert<\delta  \implies  \vert f(y)-f(x)\vert<\epsilon)
$

がなりたつ。



2007-07-04