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数学概論1A要約 No.3

\fbox{数列の収束の定義とそれに関する諸定理}

収束の定義は前回の定義 2.4で述べた通りである。 それでは定義 2.4 の判定法を満たす $ c$ は唯一つだろうか?

定理 3.1   数列 $ \{a_n\}_{n=1}^\infty$(ある人が確かめたところ) $ c$ に収束し、 (別の人が確かめたところ) $ c'$ にも収束するなら、

$\displaystyle c=c'
$

である。つまり、数列の収束先は存在するとしたら唯一つしかない。

そこで、つぎのように定義することができる。

定義 3.1   数列 $ \{a_n\}_{n=1}^\infty$ がある数 $ c$ に収束するとき、

$\displaystyle \lim_{n\to \infty} a_n=c
$

と書いて、$ c$ のことを $ \{a_n\}$極限と呼ぶ。

定義のあとは、これに慣れるためにいくつか練習を行なう。 まずは、例である。

例 3.1  

$\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{1}{n}=0.
$

厳密には、上の例の証明には次のようなことを使う。

補題 3.1   任意の実数 $ r$ に対して、それよりも大きな整数 $ n$ が存在する。

さて、つぎには極限のもつ一般的な性質について知らねばならない。 次のような事実が基本的である。

定理 3.2   極限をとるという操作は和、差、積、商、大小関係を保存する。

具体的な意味はテキストの``定理1.4'' と``定理1.2''を参照のこと。 このような定理に厳密な証明をつけ得ることが定義 2.4 の良いところである。

問題 3.1  

$\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{n-1}{n+1}
$

を求め、その答が 確かに正しいことを 定義 2.4 で述べた定義に基づいて 証明せよ。



2007-05-02