今日のテーマ
を解こう。この方程式の根を とする。 根が何であるか、具体的に知らないわけだが、その存在は既に知っている。 の持つ性質から逆算して、その解き方を見ようというわけだ。
根と解の違いは何だろうか。解は方程式に代入してみたときの 答えである。 根は、もっと根本的なもので、
(★) |
と一次式の積に因数分解したときに現れるものをさす。 (したがって、当然、根がだぶる(重根)こともある。 「根」というときには厳密には多項式 の根というのが正しい。)
上の式(★)を展開することにより、いわゆる根と係数の関係
が得られる。 は知っている数だから、 の 基本対称式の値を知っているということになる。前回に述べたことにより、 の対称式の値もこれらから( の値を個別に知らなくても) 計算できる。
したがって、如何にして便利な対称式を作るか、が大事になる。ラグランジュの分解式
を考えてみよう。(ただし .) これら自体は の対称式ではないが、
したがって、 を二次方程式
の2根として計算することができ、 それらの3乗根として もまた計算できる。そこから を 出すのは実は一次方程式を解けばよいので簡単である。
4次方程式の場合を考えよう。(前ページと記号が一部重複するが混乱しないこと) 根を とおくと、
ここから根と係数の関係が得られ、やはり の 対称式は から( の値を知らなくても) 計算できる。
ラグランジュの分解式として、
をとる。 の基本対称式
はそれぞれ の対称式になっていることが分かり、したがって から計算できる。 すなわち、 は
の三根であるから、前段のように巾根を用いて から計算できる。 あとはその平方根を計算すれば、 が計算されて、 一次方程式の根として が計算されるという仕組である。