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手順

o) まずは $ A=E$ (単位行列)にとる。必然的にこのとき $ l=a$, $ m=b$ である。

(計算):次の i),ii) を繰り返す

i) $ m$=0 なら (仕上げ) に進む。

ii) $ l$$ m$ で割った商を $ l$, 余りを $ r$ とおくと、

% latex2html id marker 750
$\displaystyle l= m q +r \qquad (\vert r\vert<\vert m\vert)
$

という関係式が成り立つ。

% latex2html id marker 752
$\displaystyle \begin{pmatrix}
l\\
m
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
q & 1\\
1 & 0
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
m\\
r
\end{pmatrix}$

なる関係に着目する。右辺にでてくる二次行列の逆行列は 直ちに計算できて、

% latex2html id marker 754
$\displaystyle \begin{pmatrix}
m\\
r
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
0 & 1\\
1 & -q
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
l\\
m
\end{pmatrix}$

ゆえに

% latex2html id marker 756
$\displaystyle \begin{pmatrix}
m\\
r
\end{pmatrix}=
...
...in{pmatrix}
0 & 1\\
1 & -q
\end{pmatrix}A
\begin{pmatrix}
a\\
b
\end{pmatrix}$

つまり、$ A$ のところを

% latex2html id marker 760
$\displaystyle \begin{pmatrix}
0 & 1\\
1 & -q
\end{pmatrix}A
$

に置き換えれば、$ m$ のところが $ r$ に置き換わる結果になり、 計算が少し進んだことになる。

(仕上げ)さて、 $ m=0$ になったはずである。 このとき、

$\displaystyle A=
\begin{pmatrix}
x& y \\
z& w
\end{pmatrix}$

とおくと、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
l \\
0
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
x& y \\
z& w
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
a \\
b
\end{pmatrix}$

だから、

$\displaystyle a x +b y=l$ (I)

が成り立つ。

他方、 $ \operatorname{det}(A)=\pm 1$ に注意すると、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
a \\
b
\end{pmatrix}=
\pm
\begin{pmatrix}
w& -y \\
-z& x
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
l \\
0
\end{pmatrix}$

だから、

(II) $ a,b$$ l$ の倍数である。

(I),(II) をあわせると、$ l$$ a,b$ の最大公約数 $ d$ と 等しくなければならないことが分かる。

すなわち、(仕上げ)まですすんだところで $ A$ の成分の $ x ,y$ と、 $ l$ が求めるものになる。



平成17年6月7日