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代数学I要約 No.1
この講義の前半では、次の定理の証明を目標とする。
後半では、環や体の実例、とくに「一次元の環」
について詳しく扱う。
《環の定義・部分環の定義》
環とは、足し算、引き算と掛け算ができる集合のことである。
部分環とは、部分集合であって環になっているもののことである。
定義 1.1 (環の定義)
集合
が環であるとは、足し算と呼ばれる写像
と掛け算と呼ばれる写像
が定義されていて次の性質を満たす時に言います。
- は足し算に関して可換群をなす。( の足し算に関する単位元を
の零元といい、0 (時には ) と書く。)
- の積は結合法則を満たす。
- の足し算と掛け算は分配法則を満たす。すなわち、任意の
に対して、次のことが成り立つ。
- は積に関して単位元を持つ。すなわち、ある が存在して、
すべての に対して、
かつ が成り立つ。
補題 1.1
環
の単位元は、ただ一つである。
今後、環 の単位元を (時には )と書く。
※レポート問題
つぎのうち一問を選択して解きなさい。
(期限:次の講義の終了時まで。)
問題 1.1
の部分環
が
を含んだとします。
このとき、
は
を部分集合として含むことを示しなさい。
問題 1.2
は
の部分環であることを示しなさい。
平成17年10月31日