標数 0 のガロア理論入門
ガロア理論といえばガロアの基本定理である。 それは、体と群の関係を与える。群がなぜでてくるかといえば、 「共役」という操作を集めてくるからである。以下「共役」の例を挙げてみよう。
複素共役
実数係数の多項式をもちいた関係式で と を 区別できるだろうか。例えば、 は
実は、実数を係数とするどのような関係式も と と を区別することができない。これは方程式の言葉でいうと、 が実係数の多項式 の根の一つなら、 も 必然的に根である、と言い換えることもできる。
他方、複素係数なら両者は簡単に区別できる。例えば、
もっと一般の共役
有理係数で と は区別できるだろうか。
を の3乗根の一つとするとき、
有理係数で と や は 区別できるだろうか。
「有理数」、「実数」以外でも、このようなことが起こることは十分あり得る。
そのため、「体」を考えるのが便利である。
一つの体を「持駒」として、どの程度のことができるか、あるいは、 その体はどのような性質をもつか、ということが基本問題である。 例えば、つぎのようなことを考えることができる。
に を付け加えるようなときには、 に を付け加え、しかる後に を 考えるのが自然である。
同様に を考える際には、 と を手駒に加えて行くのが得策であることが多い。実は次のようなことが成り立つ。
これらのことがらは、ガロア理論の一部であり、ガロア理論を理解すると 方程式や体のことが手にとるように分かるようになる。