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代数学I特論要約 No.14

今日のテーマ

\fbox{二次曲線の合同ゼータ関数}

今回は % latex2html id marker 716
$ q$ は奇素数の巾であるとする。

射影二次曲線の合同ゼータ関数を求めよう。$ X,Y$ の二次式の斉次化を 考えるところからはじめても良いが、最初から二次斉次式を考える方が 楽なので、そうする。

補題 14.1   % latex2html id marker 721
$ {\mathbb{F}}_q$ 上の二次斉次式 $ f(X,Y,Z)$ にたいして、ある3次の正方対称行列 % latex2html id marker 725
$ A\in M_3({\mathbb{F}}_q)$ が存在して、

$\displaystyle f(X,Y,Z)=(X Y Z)
A
\begin{pmatrix}
X \\
Y \\
Z
\end{pmatrix}$

がなりたつ。

定義 14.1   $ f$ が非退化であるとは、上の補題で $ f$ に対応する $ A$ に対して、 % latex2html id marker 736
$ \operatorname{det}(A)\neq 0$ のときにいう。

% latex2html id marker 738
$ E={\mathbb{F}}_q^3$ の上基底をうまく取り換える( $ {\Leftrightarrow}$ 座標変換をうまくとる) ことにより、$ V_h(f)$ の点を上手に求めることを考えよう。次の (一見何でもない)命題が鍵になる。

命題 14.1   $ E$ の元 % latex2html id marker 747
$ v\neq 0$ で、 $ {}^t v A v=0$ を満たすものが存在する。

命題 14.2   $ E$ の基底 $ \{u_1,u_2,u_3\}$ で、次のような性質を満たすものが存在する。
  1. $ {}^t u_1 A u_1=0$.
  2. $ {}^t u_2 A u_1=0$.
  3. $ {}^t u_3 A u_1=1$.

$ E$ の基底を基本ベクトルから $ \{u_1,u_2,u_3\}$ に換えることにより 方程式は

$\displaystyle 2 X Z + a Y^2 + 2 b YZ + c Z^2
$

に置き換わる。(さらに座標変換をすれば $ a=1,b=0,c=0$ に帰着することもできる。)

この方程式の解の全体はすぐに書き下すことができて、

定理 14.3   % latex2html id marker 771
$ {\mathbb{F}}_q$ 上の非退化斉次二次式 $ f$ に対して、 $ V_h=V_h(f)$ の合同ゼータ関数は

% latex2html id marker 777
$\displaystyle Z(V_h,t)=\frac{1}{(1-q t)(1-t)}
$

になる。(もっと強く、$ V_h(f)$ は全て互いに同型である。)

(今回はレポート問題はありません。来週は試験。)



平成17年1月18日