先週は、「十分大きな関数空間」 を考えると言ったが、 これでは大きすぎるということもあるし、もっと具体的な形が知りたいこともある。 そこで、次のような空間を用意しよう。
但し、この講義では専ら の -ベクトル空間としての 構造に注目し、積に着目することは少ない。
さらに、 上には 倍と がともに作用している。 の元は の無限和であり、 したがって は の 「基底」に近い扱いをすることができる。(正確には、「基底」という場合には どんな元も有限和で書けなければならないので、ここで言うのは「位相ベクトル空間 としての基底」と呼ばれるものである。)
線型常微分方程式を解くとは、 この二つの行列やそれらを組み合わせてできる行列の 核の性質を調べていることだともいえる。 これら二つの行列は可換でないことにも注意しておこう。
形式的べき級数環の元の範囲で微分方程式を求めるには、係数を イモヅル式に求めていくのが有効である場合が多い。 例えば、 なる を求めるには、 と書いて、