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代数学特論II 要約 No.9

今日のテーマ:

\fbox{定数係数線型微分方程式}

十分大きな関数空間(例えば $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ 上の複素数値 $ C^\infty$-関数の全体)を 一つ固定して、 $ \mathcal F$ と書こう。次のような微分方程式を解きたい。

$\displaystyle (\partial_x^2 -3 \partial_x +2 ) f=0
$

( $ \partial_x $ とは $ \partial/\partial x$ のこと。以下同様) この方程式は $ \partial_x $ という $ \mathcal F$ 上の線型作用素が、 解の空間 $ M$ 上満たす関係式と考えることができる。 $ M$ は実際は $ {\mathbb{C}}$ 上有限次元であって、今までの線型代数の知識を 活用することができる。

$ M$ には $ \partial_x $ が作用していて、$ M$ $ \partial_x $$ 1,2$ という二つの 固有値により固有分解される。

$\displaystyle M={\mathbb{C}}\exp(x) +{\mathbb{C}}\exp(2 x)
$

$ \exp(x),\exp(2 x)$ が固有ベクトルである。

同様に

$\displaystyle (\partial_x^2 -2 \partial_x +1 ) f=0
$

についても線型代数的な解釈ができる。 今度は解空間上 $ \partial_x $ の固有値が重複して出てくるところに注意が必要である。

高階の方程式、例えば

$\displaystyle (\partial_x^3 - \partial_x^2 - \partial_x + 1)f =0
$

でも事情は同じである。

問題 9.1   微分方程式

$\displaystyle (\partial_x^3 - 2 \partial_x^2 - 4 \partial_x + 8)f=0
$

を解け。



平成15年12月1日