今日のテーマ:
前回は復習止まりで、次の定理や命題を残してしまったので、今回はその証明をする。
の構造を知ると、次のような問題も片付けられる。 (とは言ってもこれは Fermat の定理(あるいは群論の Lagrange の定理) の範疇である。)
問題 2.3 一般に、素数 に対して、 10進法で書いた整数を で割っ た余りを「一定の桁数毎に区切って」 求める方法はいつでも存在するだろう か? (但しもちろん と の場合は例外とする。)
問題 4.2 での のクラスを と書くとき、 での の逆元を求 めなさい。 (なお、この は実は体であるのだが、そこまでは示さなくて もよい。)
(解説) 諸君のレポートを見ると、 のようなものの扱いについて 理解できている人と、できてない人の差がはっきり分かれてきているのがわかる。
についてはわかっているようだし、 も大丈夫だろう。 あとは それを で割った剰余環の理解が欠けているのだろう。
問題の で、 のクラスを( とそのまま表記しても良いし、 あるいは のような記号でもよいのだが、ここでは 字画を減らすために) と書くと、 とは、 に、 という関係式をもった元 を 付け加えてできる環である。 という関係式から、
, , 等々の関係式が得られるはずである。また、
,
などの関係式も得られる。このような環をそもそも作れるかどうか、ということも 大事なことなのだが、これが多項式の全体 を の 倍数で類別するという例のやり方で正当化されているのだ。 つまり、関係式 をもつような を に 付け加えるというだけでは、(全く何の知識もない初歩の段階では) それがうまくできるかどうかがわからないが、 -係数の多項式の全体 を の倍数を 法としてクラス分けする
ちょうど、 では が成り立つことや、 では が 成り立つことと同様である。
上の問題は少し難しすぎたかも知れないので、 次の問題を追加しておく。こちらは少し簡単である。
両方の問題とも、 の既約性まで論じることが望ましい。