next up previous
Next: About this document ...

    

代数学特論 II 要約 No.8

今日のテーマ:

\fbox{復習}まずはレポート問題の解答について。

問題 6.1

$L={\Bbb C}(X,Y,Z), K={\Bbb C}(X+Y+Z,XY+YZ+ZX,XYZ)$ とする。このとき、

1. $X$$K$ 上の最小多項式を求めなさい。

2. $M=K(X)$ とおくとき、 $[L:M], [M:K]$ をそれぞれ求めなさい。

まず、2. で $[L:M]$$[M:K]$ の定義が分かっていないようであった。 $[L:M]$ の定義は $L$$M$-ベクトル空間としての次元であって、それは 自然数である。まずこれを理解していただきたい。

  $\mbox{${\Bbb Q}$ }[\sqrt{2}]$ $\mbox{${\Bbb Q}$ }$ 上2次元である。実際、

\begin{displaymath}\mbox{${\Bbb Q}$}[\sqrt{2}]=\mbox{${\Bbb Q}$}+\mbox{${\Bbb Q}$}\sqrt{2}
\end{displaymath}

その他の例については No.4 の要約を参照して欲しい。

つぎに、最小多項式と拡大次数のカラミであるが、 これは No.3 にある。簡単に言ってしまえば、

$K$$K$ 上代数的な元 $x$ を追加して $L=K(x)$ を作ったとする。 もし $x$$K$ 上の最小多項式の次数が $d$ であるなら、 $[L:K]=d$ である。

ということになる。さらに、実はこのとき $L=K[x]$ でもある。すなわち、 $K$$x$ で生成される環は実は自動的に体になるのだ。 これには $x$$K$ 上代数的であることが効いている。

問題 6.2

上の問題 6.1で、 $L=K(X+cY)$ となるような $c\in {\Bbb C}$ の例 を (補題6.2 の証明を参考に)一つあげなさい。

ここで面白いのは $c=1$$c=0$ はうまくいかない、というところだろう。 じつはそれ以外ならば大抵うまくいくのだ。問題にあるように補題6.2の証明を 参考にしてももちろん良いわけだが、このような $c$ を直接見つけることもできる。 キーになるのは次のことである。(対称性をうまく利用する。)

$X+cY$ $f(T)\in K[T]$ の解ならば、$X+cZ$,$Y+cZ$,$Z+cY$,$Y+cX$,$Z+cX$もそうである。

問題 8.1   $L={\Bbb C}(X,Y,Z,W)$とし、

\begin{displaymath}K=(\text{$(X,Y,Z,W)$の対称式であるような ${\Bbb C}$ 係数有理式全体})
\end{displaymath}

とする。このとき、$L$$K$ との中間体($K$ を含むような $L$ の部分体 の例を一つあげ、その $K$ 上の拡大次数を求めなさい。




2001-12-03