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代数学特論 I 要約 No.5
今日のテーマ:
今回も、
といえば体を指すものとする。
上のような分解
を
の ジョルダン分解(あるいは SN 分解)
と呼ぶ。
なお、
の固有値が
に属さなくても、
の上に分離的な元ばかりなら、
のジョルダン分解の
存在を示すことができる。
証明は、ガロア群の作用で
が不変であることに
注意すれば簡単である。
固有値が
に属さないような行列に対してジョルダン標準型などを求めるには、
の適当な拡大体を考えてやるのが楽だが、そうもいかない場合もある。
そういうときには、つぎのような補題を援用すると役に立つことがある。
補題 5.1
が与えられているとする。
の固有多項式
が
というふうに分解されていたとすると、
の直和分解
であって、
- 1.
-
.
- 2.
-
.
- 3.
-
の固有多項式は .
- 4.
-
の固有多項式は .
を満たすようなものが存在する。
問題 5.1
つぎの各例について、体
と行列
にたいし、
の ジョルダン分解をしなさい。(つまり、
を求めなさい。)
- 1.
-
は標数 2 の体で、
は
の
でない元。
(注意: 上の仮定のかわりに、
かつ
と仮定すると、
これは
係数の範囲ではジョルダン分解ができない例を与えている。)
- 2.
-
で、
ただしここで、
(
は
の元ということになる。)
- 3.
-
は任意。
- 4.
-
は任意。
Yoshifumi Tsuchimoto
2000-10-31