「ライツアウト」という玩具がある。 (知らない方は goo で 「ライツアウト」を検索すると良いかも知れない。 java で実際に遊べるようにしてあるサイトもある。 この頃は便利になったものだ。)
このゲームは、要は の元を成分に持つようなある種の行列の 「逆行列」を求める問題である。 (実際には行列が退化しているのでちょっと違うが、いづれにしても) このような問題はコンピュータにぶちこんで、掃き出し法をつかってやれば すぐに答えを求めることができる。
したがって、最初見たときには余り興味が起こらなかったのだが、 わたしの妻があまりに面白そうにやっていたのでつい引き込まれてハマッテしまった。
その結果、解法は(人間にとっても)実は凄く簡単であるということがわかった。
詳しいことを書くと、これから解こうと思っている人の興をそぐかも知れないし、 玩具の販売もとであるタカラから文句が来ないとも限らないので、 簡単に述べると、次のようなことになる。
縦軸を時間、横軸を空間に見立てて 駒を消すさまを「時間発展」とみなす。 いったん与えられた問題(外力)を「時間発展」してみて「終状態」 をしらべ、あらためてそれを打ち消すような「始状態」をこしらえて 問題を解き直せば、ちょうど全部を消すことができるのだ。
解けてみると、まさに私が日常使っているような数学になっているのに気づく。 (だが、最初は適当に遊んでいたので、このような解答ができたのは偶然なのだ。)
あとは、妻にどういう風に教えるかである。(何だかんだ言いながら、 私は何でも教えて自慢したい類の人間なのだ。) 数学者なら、 上の線型代数を使うところを、 日常の言葉で語るものだから、こちらにとっても相手にとってもまどろこしい。 「解法」を伝えるのは何とかなっても、「なぜ」うまくいくのかは 説明できたとは言いがたい。
しかも、こういうゲームは四苦八苦して解く、あるいは解き方を考える、 のが楽しいので、私が解法を教えてしまっては、 残るのはゲームではなく単純作業である。
「こんなお仕事みたいなこと、やりたくないわ。」
と言われてしまった。ごもっとも。
(うう。落ちがない。単なるオノロケネタになってしまった。)