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多様体が有限個の点からなる場合に、これを群の作用で割ることについて、
反省してみよう。(これは、単なる簡単な例を考えていると言うだけではない。
我々の住んでいる世界が有限個の点からなるとしても、
そう簡単に矛盾は得られないであろうことから、
有限個の点をきちんと取り扱うことは大事であると思われる。)
なお、以下では有限個の点には「数えあげ測度」をいれておくことにする。
(ここのところをいろいろと変えてみると話の測度依存性が若干見えて来るかと
思われる。)
有限個の点 上の(連続、あるいは )関数環 は、
の(環としての)直積
に等しい。
ここに、 の次元 は の点の個数である。
有限群 が に作用しているとすると、 は にも作用し、
上の関数環は ( の -不変元全体のなす環) と同一視される。
これが古典的な「不変式論」的立場である。
それにたいして、[1]の立場では、 上の関数環 を
《 が生成する 上の同値関係 のグラフ 》
と対応付けようとする。 が有限個の点である今の場合には、行列を使って
$a_ij&ne#neq;0$ となるのは $i &sim#sim;j$ なる $i,j$ に限る
と書き表すことができる。
次のことは直ちに確かめられる。
- の -orbits を
とし、各 の 元の個数を
と書くことにすると、 は行列環の直積
と
同型である。
- の中心は、 と同型である。
- は と森田同値である。(森田同値性の定義については、(III+1/2)を
参照のこと)
これを見ると、 の全ての情報を は握っているので、場合によっては
を用いる方が得策ではないか、と言うのもうなずける。
のもう一つの見方は、 上 と (の左作用)で生成された
作用素環、としての見方である。(これが上の と一致することはすぐにわかる。)
2002年11月24日